前回までで、どのパラメータを動かすと特性がどう動くかということが概略わかった。なので実際に設計演習をしてみるテスト。
やはり一番身近にありかつ、実働して製品にまでなっているという
MFJ-1786/1788をターゲットに設計してみることにする。

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01_初期値まずこれは、こちらでゼロから立ち上げた、MFJ-1788相当と想像される定数のアンテナ。でも中身バラしたわけではないから給電用内側ループの定数なんて全部想像にすぎない。たかがこのシミュレーションのために中をばらして見る気など全然ない。
ただ、特性的に良かった値を入れてセーブしてあるわけで、当初R=21cm,d=3cmと勝手に想像していたのに、いろいろ計算するとR=12cm,d=8cmが良かったのだから、実は中身はそうなっているのかもしれない。
能書きはこれ位にして、要するに、このファイルを元にして、最適化機能を使いまくって実際の各バンドでの定数を具体的に計算しようというイベントだ。

まずそこで、Cの最適化はいいのだけど、dの最適化をどうするのか迷った。それでMMANA-GALをいじってみるに、どうもElementの最適化を選んで、こちらでは給電用ループがPosition2なので2を選んで、dの方向はこちらではZ軸方向なのでZを選択して最適化してやれば、なんとかなりそうなことがわかった。ただし、Y/Z方向の最適化をすると、単に位置が移動するだけでなく、ループの形状も変わってしまうという副作用がある。まあでもそれは仕方が無い。良い方に解釈すれば、それだけいろいろな可能性を試すことができるすばらしい機能がこのソフトには備わっている!とも言える。

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<7MHz帯>

7_1これが最適化後のZ=R+jXのグラフだ。このように微妙に苦しい。
7_2なのでこのように、最適化ポイントでもR=13, jX=-33, SWR=5.53に留まっている。
7_3Z方向の最適化の結果、内側ループの形状はこのようになった。

やはり7MHz帯はかなり苦しいことが
MMANA-GALからでもよくわかる。
7_4これが肝心の具体的データ。寸法は、内側ループのみ出ている。
No.16のZ1の値がdに相当するわけだ。つまりこの場合は、d=1.98cmであることがわかる。他の寸法は見てのとおり。そうそうY方向の最適化によってYの数値も少し動いている。あと、共振用のCの値は見てのとおり246pFだ。このときこの表と見比べると、かなり説得力がある。
周波数帯ごとにまとめを書く。
7MHz
d=1.98cm,(内側ループ形状)縦楕円, C=246pF, SWR=5.53

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<10MHz帯>

10_1Z=R+jXのグラフ。
jXが0まで下がっていない。
でもRの方は素直な特性だ。
10_2R=51, jX=3, SWR=1.06
10_3内側ループ形状はまとも。
10_4d=8.55cm, C=116.003pF

このように、かなり筋がいいことがわかる。
10MHz
d=8.55cm,(内側ループ形状)円, C=116.003pF, SWR=1.06

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<14MHz帯>

14_1Z=R+jXのグラフ。
もう芸術作品の領域だな。
14_2R=50, jX=-0.5, SWR=1.01
14_3d=7.9cm, C=57.814pF

最適化したのでほんの少し動いているが、ほとんど元の設計どおりの円だ。実にすばらしい!
14MHz
d=7.9cm,(内側ループ形状)円, C=57.814pF, SWR=1.01

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<21MHz帯>

21_1綺麗というほどの形ではないものの、略々R=50, jX=0の点を通過しているので特性は良好だ。
R=56, jX=3, SWR=1.14
21_2内側ループは縦楕円になっている。
21_3d=4.5cm, C=22.944pF
21MHz
d=4.5cm,(内側ループ形状)縦楕円, C=22.944pF, SWR=1.14

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<28MHz帯>

28_1Z=R+jXのグラフ。
jXが0まで下がりきっていないし、
Rも「何とか50Ωの地点を通過しました~」といったような趣。
28_2R=49, jX=11, SWR=1.25
28_3なんかこう、内側ループ形状が破綻してる。本当にこんな形で動作するのか?全くもって不明。
28_4d=0(破綻か?), C=10.551pF
28MHz
d=0(破綻?),(内側ループ形状)破綻?, C=10.551pF, SWR=1.25

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<50MHz帯>

50_ngこれは、C=0にしたときのグラフだ。つまりもう、同調を取ることすら不可能ということだ。
動作原理的にもやはり前回のときの考察のとおり、今回のシミュレーションでも50MHzでは動作不能という結果になった。



というわけで、なんかこう、7は苦しく、10-28?では動作するという趣旨がほぼ再現されたような。

こういうふうにかなり納得できる結果が出ると、シミュレーションは楽しい。