JE1QMS

アマチュア無線局 JE1QMS です。1972年3月30日、50MHz A3 1W, TR-1200で開局。
14MHz JT65 で22年ぶりに復活後、CW練習や移動運用、自作ダイポール室内アンテナ、ウクレレQRL/ピアノQSY、マンションからJT65/FT8・・・を経て、栃木県で再開準備中。(^◇^)

2010年11月

アンテナ設計目標を再確認する

例えば、はじめから「5エレ八木を作ろう」とか、そういうアンテナの作り方もあるだろうが、こちらで今やっているのは全然違う。
要するにこことそれ以外でも書いたように、「長さ4.38m(但し石膏ボード上の等価波長換算で)(実寸では3.5m) の長さに収まり、かつ有効にスペースを活用するビームアンテナで(でもシミュレーション経験的には八木)、マッチングは集中定数で行い、調整が現実的数値で行えること。」というのがミッションだ。

もっとはっきり言うと、

何エレ八木でもいいからここに納まる中で性能のいいやつ。
集中定数整合をするのでアンテナの生のインピーダンスは50Ωよりも
かなり低め。


ということになる。

なので、MMANA-GALには50Ω以外の環境でアンテナを設計する機能もあるので、それを使わせてもらい適当にそこそこ見繕って、4エレ・5エレ八木を何回も設計してみた。これがその結果。
000


実際には、自動設計では綺麗に結果が出るほど甘くない。4エレならまだいいけど、5エレになるとパラメータが多すぎてソフトが悩んでしまう現象が頻発した。例の、「ファッション」を行わざるを得ない。

あと、ノウハウ的にはこのように、
001
初期設定のエレメント間隔は異常に狭くとっておく。なぜならば、できるだけ小さい面積でアンテナを設計したいわけだから、大きい方から開始して大きいところで最適化できても何の意味も成さないからだ。

002
さらに最適化をやるときのこの各種最適化レシピのハンドルは、
「中庸の徳」を地で行く。たとえばGain, F/Bを最大、SWRを最小に設定して計算すると、結果として滅茶苦茶な値が出てしまう。こんなところにも仏教思想が。www

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で、最初の表に戻ると、大体次のようなことがわかる。
・幅(エレメント長)は4エレでも5エレでも何オームでもほぼ同じ。
・jX成分にプラス分が残っていると、長さが短め。
・完全にマッチングをとれば、インピーダンスが低い方が長さが短い。

あと、もしかして・・・と思って作ったのがこのグラフ。
比較表
サンプル数が少ないという欠点はあるものの、「もしかして、4エレでも5エレでも単に長さが長ければ性能がいいとかだとイヤだな~~~」と思ったのだが、どうやらそういうことはなさそうだ。
つまり、横軸はアンテナの長さで縦軸が性能(とはいってもゲインとFB比だけしかないのでなんとも言えないが・・・)。なんとなく4エレ28ΩだけがF/B比がいいようにも見えるけど、偶然の可能性も大。
ただ一つ言える事は、「5エレは大きい」と、それだけ。

ビームパターンとか、実際のバンド中の特性比較とか、調整の容易さとかまで含めて総合判断しないと何ともいえないみたいだ。

アルミパイプの勉強

ところで、実際にアンテナを作るならば、普通はアルミパイプを使うだろう。なので、ちょっと勉強して個人用覚書を作っておく。

結論から言うと、このサイト様が最高にためになる。

要するに、アンテナエレメントとして使うのを想定した場合、実際の型番としては、A1070TD-H14しかないみたいな?
でもホームセンターとかで、置いてなければ仕方ないわけだが。

例えば、石膏ボードの天井に貼り付けて室内アンテナを作る場合ならば、サイズ(直径)6mm, 肉厚1mmがいいような感じだ。

また塗装工事 ww

ようやくこのときの塗装工事は終わって足場も外れたものの、こんどは別の数件先の家で、また塗装工事が始まるみたいな。
しかし好きだな~ どうせまた、「○○さんが塗ったから、うちも~」とかそういうノリみたいな。www 実に「日本」だな~ 
そんなちょこちょこ塗ったって、どうせまたすぐに・・・とか、そんなどうでもいい外見よりもやはり中身・・・な~んて、・・・そういうことは思ってても言わない。www (^o^)/ 
このブログにもそれ以上は書かない。ノーコメントですよ。w

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しか~し、今回の塗装工事は逆に、絶好のチャンスかも?
現在アンテナ工事の準備はほとんど終わっているものの、1つだけ足りないものがあり、それが多分今日中には揃う。
一方塗装工事は、今日足場を組んで明日洗浄に入る可能性が高い。そうすると、近隣には洗濯物を出さないようにと業者から挨拶が入るだろう。ということは、周りの家も自分の家も、明日はベランダに洗濯物が出ない可能性が高い。
天気を見ると、今日は晴れ、明日は晴れからくもり、あさって以降は雨みたいな。ということは、明日は、雨じゃないのに洗濯物が出ないので近隣のベランダに人が出てくる可能性が低い & 自分の家にも洗濯物が無いので工事がやりやすい & くもりなので空を見上げて太陽方向にアンテナがあってもまぶしさが低減される & しかも平日・・・・という、絶好のアンテナ工事日和な可能性が
もし洗浄の汚水が飛んできても、洗濯物じゃなくてアンテナなら問題なしだし、さらに翌日は雨ならばなおさら綺麗になる?自分が外に出るときは見計らって出ればなんとかなるし、風呂入れば問題なしだし。

  さらに、「大安吉日」 (^o^)/  だし・・・

というわけで、他の阻害要因がなければ明日あたりアンテナ上げるかも???

誘電体表面の実効波長の計算

いきなりですけど、空気中の誘電率は真空中とほぼ同じ εo とみなしてよいわけだが、誘電体中では波長は短縮する。

ところで、石膏ボード(硫酸カルシウム(CaSO4))の電気物性を考えるに、ここによると、比誘電率 εr = 2.8 みたいな。
あと、ここらへんによれば多孔質部材の誘電正接が問題になるのはマイクロ波帯で、多分HF~VHFあたりでは tan δ = 0 と考えても大丈夫なような。

さらにここらへんによれば、誘電体媒質に囲まれている場合、波長は真空中の 1 / √εr 倍で、誘電体の表面ならば空気中と誘電体中の中間みたいな。

以上から考えると、次のようになる。

実効波長


つまり、
  石膏ボードの天井に這わせた電線を流れる高周波電流の波長は
               0.799倍になる
ということだ。





これ・・・もうわかりますね~

室内アンテナというと、悲惨の極みなわけだけど、良い点もあるじゃんっていう。まさに!
等価長さ4.38m

物理的には3.5mのこの部屋の短辺が、アンテナを流れる高周波電流から見ると 4.38m に見えるという。


これはすごいよ

   4エレ・5エレ八木への期待が高まる・・・・

     またまた妄想で今夜も眠れないよ。wwww (^o^)/

MMANA-GALで集中定数整合3エレ八木を設計する

マッチング回路とエレメントを両方自動最適化すると、MMANA-GALが悩んでしまってうまく行かないというのが前回まで。
しかし、片方ずつ最適化しても意味は無い。なぜならば、あまりに近くにあるのでお互い影響しあうからだ。

ならば・・・
○○マッチとかそういう何十年も前からの技術にとらわれず、このときにやった整合回路なしのアンテナに、集中定数でマッチング回路を作れば?という。

集中定数だからアンテナエレメント本体の分布定数回路とは影響は最小限。こういうときに、周波数の低いバンドだと逆に楽だ!
さらに言えば、周波数が低いとアンテナが大型になって散々苦労してるのに、マッチングに集中定数を使わないなんてもったいなすぎる!という感触。

001さっそくやってみる。
要するに、やってみてうまく行けば、上記の集中定数マッチングだとアンテナの分布定数回路への影響は少ないというのが実証されるということだろう。
まずこれの上の表が、前回のノーマッチングのアンテナの最適化済みの寸法だ。結果から言うと、これの下の部分が求める定数。
002これは、エレメント本体は固定にして、集中定数だけをパラメータにして最適化した結果だ。このとおり、理想的動作な感触
003最適化の結果の数値。
R=54Ω, jX=-8Ω, SWR=1.19
が得られた。

006そしてこれは特性図。
R+jX, SWR, パターンともに、素直な3エレ八木の特性が保たれている。

まさに、アンテナ本体はいじらず、マッチングだけをやったという意図通りなわけで、改めて「集中定数整合だとアンテナエレメント本体の分布定数回路との影響は最小限」であることが実証された。

matching_では一番最初の絵にあった、L,Cの値を実際に配線するのは?というのがこの絵なんだけど・・・
すばらしいサイト様にあったUバランを採用するのか?
等価回路しかし、もともと集中定数の整合回路はここの等価回路を使っただけだ。この回路をじっと見れば、同軸からCを経て、2つのLに入っている時点でもう平衡回路になっているのではないの!?

ならば、これでいいじゃん。っていう~ 

BlogPaint


集中定数整合回路の採用により、シミュレーションの自動最適化での問題点と、平衡不平衡変換バラン問題が一気に解決した。

と思うんだけど、どうだろう。

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3el八木実際にこれを適用する?3エレ室内八木アンテナの図面だ。このとき検討した室内MLAの代わりに、室内
6m八木にしたらどうなるかという話ですよ。
そうそう、ちょうどこの絵で左だけ外の建物に隙間が開いてるでしょ~。その方向が富士山方向という~。(^o^)/

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まあそれは置いておいて、定数的には1.4pFの容量を可変して調整するということになりそうだが、あまりに容量が小さいので一工夫必要だろう。例えば、他の固定のCと直列にするとか、そもそもそれ以前に、バリコンなんか使わずに電極を2つ空中に置いて、それこそマブチモータで距離を変えるメカを作るとか、または、そもそも当初アンテナの最適化は50Ωでの値で行ったけど、ここで集中定数整合するのだから何も最初のアンテナ設計は何オームでもかまわないというわけだ。
ここの整合回路のLCの値の計算値が小さいということは、等価回路でいうとZ0とRが近すぎるということだから、もっと裸のアンテナのRが小さい方が整合回路の定数は大きくなるかもしれない?

それ以前にまずは、今回のCの値を実際に調整してみる場合の調整具合を見るために、前にやったように、最適化をせずにただパラメータを変化させた生データを自分でExcelで加工してグラフにしたものを示す。
C1これだ。横軸はマッチング容量。縦軸はR, jX, SWRだ。このように、Cを動かしてもRは変わらない。jXだけをいじっていることになる。

C2
SWRだけを拡大したのがこれ。0.01pF動いただけで、SWRが厳しいことに・・・という、実用上非常に難点な数値なことは自明。実用化する際にはここらへんをなんとかしないとダメだな~。

しかし、脈はあるということが今回わかったので、今回はこれで終了~。

MMANA-GALでTマッチ3エレ八木を設計する

ガンママッチってそもそも左右非対称だし、左右対称なアンテナをドライブするのに直感的に見てもムリがありそうなことは想像がつく。
なので、Tマッチをシミュレーションしてみることにする。

しかし・・・それ以前に、MMANA-GALを使う上でまたまた自分だけNGなことやってたみたいなので覚書しておく。
zzこの上の絵のように、マッチングのところで分岐する場合に元のエレメントを1本で書いてしまうと、シミュレーション上では連続とみなされるので電流分布は青で書いたようになる。
それを下の絵のように、交差している点では必ず別のWireにするという規則を守ると、ちゃんと電流分布は2本の導線にそれぞれ流れるような感じになる。
MMANA-GAL付属のファイルでも下の絵のようにやっているので、これは守るべき規則みたいな。

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さて本論。そうやって設定して最適化するとこうなる。

T1まずは寸法。
いや、実はこれにはかなり無理があるんですよ。

T2一見まともっぽく見えるものの・・・

T3これがその仕掛け。
はっきりいって、あまりにひどいので、シミュレーションの初期条件を、見てくれが余りに悪いような定数にならないようにかなり狭くしているという。こんなのはファッションだよ。全然自然科学じゃない!
こんなところでファッションやってどうするっていう~ (´A`)

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T4a最適化ファッションwの結果。
R+jX
T4bSWR
T4cパターン

う~ん。
いいのかな~こんなんで。
というより、そもそもこういう便利なソフトが無かった時代のアンテナ設計なんて、特にアマチュアレベルではまさにノウハウの塊だったんだろうから、余り悩んでも仕方ないような気もするし。
「悩んでる暇で手を動かして作れ」っていう世界みたいな?

このブログのような妄想ではなく、ちゃんと理論的考察もされて、その上実際に物を作られて、さらにすばらしい性能のアンテナを実現されて、さらにそのノウハウを細かく公開されているすばらしいサイト様がこちらだ!

JG2TSLさんのサイト

実にすばらしいな~。「Uバラン+Tマッチ方式」の優位性など実に説得力がある。しかも実際のUバランの作り方まで解説してあってとてもありがたく、ためになる。
そうそう、アマチュア以外の分野ではバルン、バルントランスね。こういう微妙な用語が沢山あるから、一般世間的に会話する場合は要注意だ。Q符号以外なら大丈夫だろうとかいう感じで使用すると・・・いろいろ・・・かも。ただ、バランのほうがGoogleで検索するときにはゴミが出なくてありがたいけれど。

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そういえば、MMANA-GALでは平衡・不平衡変換の概念ってあるのか?現実に物を作る場合には避けては通れないような気がするけど。
でも逆にHF用アンテナならば、どうせ周囲の建物等の影響で平衡も不平衡も乱れまくりだから、そんなの気にしたら負け(^o^)/の世界なのかも~???

なんかこう、マッチングまで絡んだアンテナのシミュレーションは、奥が深すぎてなかなか手が出ない印象。(自動最適化をやるのが前提という意味で。)

さらにそれにバラン問題まで絡むと、やはり偉大なOMさんのノウハウを頭を下げて使わせていただくのが吉ということになるのか???


まあそれが良い悪いではなくて、そういう世界もまた楽しいという側面もあるだろうな~。

MMANA-GALでガンマ・マッチ3エレ八木を設計する

前回はいきなり、マイナーな?MLAを設計してみたのだが、今回はメジャーな?3エレ八木を6mで設計してみる。
というか、これなのよ。もしこのときの下の図のような室内アンテナを考えたとして、磁気ループを止めた場合に、同じスペースに最大限有効に入るアンテナは何か?を考えるに、50MHz3エレ八木になったわけで。
その理由は、やはり3.6mという寸法と、あと、唯一開いているベランダ方向は、さらに唯一周辺の家の建物の隙間になっている上、そっちはなんと!富士山方向という。。。
まあ室内アンテナで飛ぶわけはないけど、「妄想の材料」としては結構楽しい。w

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さらに今回のスペシャルは、MMANA-GALで、複数パラメータ(さらには全パラメータ)の同時最適化がようやく一応できるようになった。なので、それを駆使して実験してみようというのも趣旨だ。

<整合回路なし3エレ八木>

NO_B01まずこれは、マッチング回路を無視した状態で、3エレ八木の寸法を適当に入力しただけのもの。

NO_B02それを絵にしたのがこの左側。そして右側は、複数パラメータ同時最適化を行うための設定だ。

この状態で、「最適化」を実行すると~
特に絵を見ながらやってみると、まるで生き物のようにエレメントの長さが変化したりエレメントの間隔が変化したりして、そのたびに誘起される電流の大きさも変わったりして動画としても十分楽しい
これはすごいな。まさにシミュレーションソフトの独壇場!。単なる計算ソフトだけではなく自動最適化=自動設計を見ていると、本当に20世紀とは隔世の感があるな

NO_A01そうやって感動の結果、こういう寸法になった。

NO_A02それを絵にするとこういう感じ。
導波器と反射器の間隔がかなり広い3エレ八木だ。

NO_A03aではいよいよ!自動設計の成果の実際の特性を見ていこう。
まずはR+jX.
jXはいいけれど、Rは50Ωより低い値になっている。
NO_A03bSWRもまあそこそこ。
NO_A03c利得とF/B比も典型的3エレ八木の様相。
マッチングをしていないからインピーダンスやSWRはそんなに良くないのはごく当然として、エレメントの長さや間隔・利得とF/B比も典型的3エレ八木という感じで、見事に自動設計が機能しているという感じでものすごくすばらしい。

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<ガンママッチつき3エレ八木>

Gm_B01それでは、ガンマ・マッチの回路をつけて、ちゃんとマッチングを取った3エレ八木は設計できるのか?という実験スタート。
まずはこのように設定する。これでガンママッチを付けたつもりなのだが?。

Gm_B02これがその絵と、最適化パラメータだ。

さあいよいよ「最適化」だ!しかしこんどは一筋縄ではいかない。なんかいかにも悩んでるふうな様子が・・・コンピュータでも計算に悩むみたいで、なんと人間的?というか、そういうところまで良くできたすばらしいソフト!

Gm_A01・・・なので、悩んだ結果、なんかこういうことになった。

Gm_A02これがその絵。
ガンママッチのマッチングエレメントと本エレメントの間の距離が莫大なことになっているけど・・・これなんかまだいいほうで、実はこの条件以外で計算すると、例えばガンママッチのマッチングエレメントの長さをもう少し長い状態を初期条件にすると、さらにもっとひどいことになる例が頻発した。なので、この絵はまだいいほうだ。

ソフトの使い方がまだマズイのか?、パラメータが多すぎると原理的に無理なのか?、ガンマ・マッチという方式自体に無理があるのか? 今のところは不明だ。今後ガンマ・マッチ以外でいろいろ実験したらわかるのかもしれない。

Gm_A03aこれが結果。R+jX.
かなりカーブが芸術的?になっているが、50ΩとjX=0に無理やり合っている感じ。相当苦労した形跡があるな~。

Gm_A03bSWR.
これも、「無理して下げました」という感じ。
Gm_A03c利得とF/B比も、「一応3エレ八木ですけど、すごく苦しかったです」・・・というのがありありと感じられる。


なので、全然実用になりそうにはないものの、マッチング回路は奥が深そうでまだまだ実験材料には事欠かないという印象であった。

MMANA-GALでMFJ-1786/1788相当磁気ループアンテナを設計する

前回までで、どのパラメータを動かすと特性がどう動くかということが概略わかった。なので実際に設計演習をしてみるテスト。
やはり一番身近にありかつ、実働して製品にまでなっているという
MFJ-1786/1788をターゲットに設計してみることにする。

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01_初期値まずこれは、こちらでゼロから立ち上げた、MFJ-1788相当と想像される定数のアンテナ。でも中身バラしたわけではないから給電用内側ループの定数なんて全部想像にすぎない。たかがこのシミュレーションのために中をばらして見る気など全然ない。
ただ、特性的に良かった値を入れてセーブしてあるわけで、当初R=21cm,d=3cmと勝手に想像していたのに、いろいろ計算するとR=12cm,d=8cmが良かったのだから、実は中身はそうなっているのかもしれない。
能書きはこれ位にして、要するに、このファイルを元にして、最適化機能を使いまくって実際の各バンドでの定数を具体的に計算しようというイベントだ。

まずそこで、Cの最適化はいいのだけど、dの最適化をどうするのか迷った。それでMMANA-GALをいじってみるに、どうもElementの最適化を選んで、こちらでは給電用ループがPosition2なので2を選んで、dの方向はこちらではZ軸方向なのでZを選択して最適化してやれば、なんとかなりそうなことがわかった。ただし、Y/Z方向の最適化をすると、単に位置が移動するだけでなく、ループの形状も変わってしまうという副作用がある。まあでもそれは仕方が無い。良い方に解釈すれば、それだけいろいろな可能性を試すことができるすばらしい機能がこのソフトには備わっている!とも言える。

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<7MHz帯>

7_1これが最適化後のZ=R+jXのグラフだ。このように微妙に苦しい。
7_2なのでこのように、最適化ポイントでもR=13, jX=-33, SWR=5.53に留まっている。
7_3Z方向の最適化の結果、内側ループの形状はこのようになった。

やはり7MHz帯はかなり苦しいことが
MMANA-GALからでもよくわかる。
7_4これが肝心の具体的データ。寸法は、内側ループのみ出ている。
No.16のZ1の値がdに相当するわけだ。つまりこの場合は、d=1.98cmであることがわかる。他の寸法は見てのとおり。そうそうY方向の最適化によってYの数値も少し動いている。あと、共振用のCの値は見てのとおり246pFだ。このときこの表と見比べると、かなり説得力がある。
周波数帯ごとにまとめを書く。
7MHz
d=1.98cm,(内側ループ形状)縦楕円, C=246pF, SWR=5.53

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<10MHz帯>

10_1Z=R+jXのグラフ。
jXが0まで下がっていない。
でもRの方は素直な特性だ。
10_2R=51, jX=3, SWR=1.06
10_3内側ループ形状はまとも。
10_4d=8.55cm, C=116.003pF

このように、かなり筋がいいことがわかる。
10MHz
d=8.55cm,(内側ループ形状)円, C=116.003pF, SWR=1.06

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<14MHz帯>

14_1Z=R+jXのグラフ。
もう芸術作品の領域だな。
14_2R=50, jX=-0.5, SWR=1.01
14_3d=7.9cm, C=57.814pF

最適化したのでほんの少し動いているが、ほとんど元の設計どおりの円だ。実にすばらしい!
14MHz
d=7.9cm,(内側ループ形状)円, C=57.814pF, SWR=1.01

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<21MHz帯>

21_1綺麗というほどの形ではないものの、略々R=50, jX=0の点を通過しているので特性は良好だ。
R=56, jX=3, SWR=1.14
21_2内側ループは縦楕円になっている。
21_3d=4.5cm, C=22.944pF
21MHz
d=4.5cm,(内側ループ形状)縦楕円, C=22.944pF, SWR=1.14

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<28MHz帯>

28_1Z=R+jXのグラフ。
jXが0まで下がりきっていないし、
Rも「何とか50Ωの地点を通過しました~」といったような趣。
28_2R=49, jX=11, SWR=1.25
28_3なんかこう、内側ループ形状が破綻してる。本当にこんな形で動作するのか?全くもって不明。
28_4d=0(破綻か?), C=10.551pF
28MHz
d=0(破綻?),(内側ループ形状)破綻?, C=10.551pF, SWR=1.25

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<50MHz帯>

50_ngこれは、C=0にしたときのグラフだ。つまりもう、同調を取ることすら不可能ということだ。
動作原理的にもやはり前回のときの考察のとおり、今回のシミュレーションでも50MHzでは動作不能という結果になった。



というわけで、なんかこう、7は苦しく、10-28?では動作するという趣旨がほぼ再現されたような。

こういうふうにかなり納得できる結果が出ると、シミュレーションは楽しい。

MMANA-GALによるMLA設計覚書

というわけで、MMANA-GALで磁気ループアンテナを設計しまくってるというのと、アンテナマッチングについて少々考えたというのもあって、アンテナの各パラメータを動かすと「どこに効いてくるのか?」というのと、具体的に「どうやって調整すればいいのか?」という2つの点を少しでも明らかにするべく、自分用メモを作ってみる。
これが、一番シミュレーションでやってみたいポイントなのは確かだ。

000まずこれは、MFJ-1788を念頭に置いた、自作したMLAモデルの図。ループ直径は0.9mに固定する。また、説明のために、この絵のように給電用ループの直径をR, 給電用の内側ループとアンテナ本体外側ループとの距離をdと書くことにする。

001まずこれは、なんとなく目視的に
MFJ-1788を想定した、R=21cm,
d=3cmの時の様子。このグラフは
MMANA-GALのPlot機能をそのまま使っているだけだ。
これを始点にしていろいろいじってみる。

002これは内側ループの導体径を変えてみたもの。要するに全然変わらない。

003R=12cm,d=3cm.
つまり、距離は変えずに内側ループの直径を小さくしてみた。
その結果、Rのピーク値が低くなっている / jXの可変範囲が狭くなっていることがわかる。

なお、動かしているパラメータは前回のとおり、外側のループの上の方にあるバリコンの容量だ。その結果として、このグラフで言う横軸方向の動きは、MMANA-GALの最適化機能によって自動的に調整されているはずだ。つまり、左右方向の動きは自動調整済みと考えて眺めるという意味だ。

004次は、R=12cmのままで、d=8cmにしてみる。つまり2つのループの距離を遠ざけてみる。
その結果、Rのピーク値が低くなっている / jXの可変範囲が狭くなっていることがわかる。

005次もR=12cmのままで、d=11cmにしてみる。さらに2つのループの距離を遠ざけてみる。
その結果、Rのピーク値が低くなっている / jXの可変範囲が狭くなっている or jXのオフセット値が高くなっていることがわかる
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以上より、全然理論的根拠はわからないものの、単にシミュレーションの状況観察日記的に、次のような現象が観測される。

・内側給電ループの径を小さくするのと、内側ループと外側ループとの距離を大きくするのはほぼ同じ効果があって、Rの値を低くする and
jXの可変範囲を狭くし、オフセット値を上げる効果があるらしい。

しかし多分、もし仮に実際にこれを作るとしたら、
1. バリコンを動かしてjXを0にする。
2. 内側ループの距離dを動かしてRを50Ωにする。

の手順で調整が可能なのではないか?と仮定してみる。

もしそうならば、マルチバンド・アクティブ調整型磁気ループアンテナが自作可能(MFJのマネをしてみるという観点で)になるかもしれない?という夢??は一応見ることはできるような。。。

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さらに、今回やこの回にやったMMANA-GALでの14MHz帯のこのMLAの計算で求めた同調用Cの容量は、53-58pF. 一方この時にやったAA5TBさんのExcelファイルの計算では63pFと、ほぼ合っているというのはかなり勇気が沸いてくるみたいな。
そして、AA5TB方式では効率も計算できるけど給電部やマッチングのところが不明だし、MMANA-GALではこのように給電部のマッチングも含めた計算ができるけど、効率とかは不明なわけで、全く別のシミュレーションが同じようなCの値を算出して、さらに相補的に補い合っているところなんか心憎い仕上がりという感触で、いい感じだ。

MFJ-1788等の磁気ループアンテナの威力

こういう考察をしてから考えると、MFJ-1788みたいな完全にモータ内蔵でコントローラで制御して周波数がちょっとでも動いたら即調整必須なアンテナって、実に本質を突いたアンテナだな

逆に言えば、他の全てのアンテナ(但し、屋外型アンテナチューナを使用した場合と、SteppIRを除く)って、単に完全に調整できないのでそこそこ誤魔化して使ってるだけということになるな~。

さらに言えば、21世紀にふさわしいアンテナって、従来のようなパッシブ調整型ではなくてアクティブ調整型なような気がするね~。

つまり、アンテナ直下に付けた屋外型アンテナチューナ以外では、アンテナそのものにダイナミックな調整機構が内蔵されているのが当たり前になるというような。

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どうもアマチュア無線が一般世間的に衰退しているのはこういうところにも関係してそうな感触が?衰退してるからそういう技術を開発しない → 開発しないから進歩が無くて新しい若い人が興味を持たないという負のループが作動しまくっているような。(現にアメリカではちゃんと開発してるので、日本ほど若い人が無線をやらなくはないのでは?勿論それ以前に「破滅的住環境」の影響が一番大きいだろうけど・・・)
そういう技術的な新規性と、あとは全くそれとは別な、合気道や書道のような「道」につながる自己鍛錬としての「CW」みたいな人間側の鍛錬。その両方を極めれば完璧だな!・・・・と理想論だけ考えてみる。

個人的にはまずはアンテナ上げないと・・・ってそればっかり。
なんと理想から遠い現実なことよ。 (^∀^)

哀愁のTR-1200

リズムがCWで、ホワイト・ノイズが「MIK」ベースが「U」、歌メロが「CQ」、シンセソロが「VVV DE JA1IGY」ですよ。w
ウクレレ/ピアノで
    QRL/QSY

ピアノはこちらです。
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