何度も書いている、14MHzフルサイズ室内ダイポール・アンテナの件。
今回はついに、実際に設置して測定してみた。まずは写真から。
これが左半分。
これが右半分
これは給電部と、はしごに登ってMFJ-259Bをつないで測定しているところな様子。
汚いので、大分塗りつぶして隠してあるけど、
2段ベッドのすぐ上にエレメントがある様とかの生々しい状況がわかるであろう。
今回はこの写真にあるように、短い同軸ケーブルで、アンテナ本体とMFJ-259Bを直につないで測定してみるだけ。実際にリグにつなぐケーブルはまだできていないのでそれは後日。
要するに、できるだけ給電部のそばで、アンテナの生の特性を測ってみるというのが目的。そしてそれを元にして、実際に設置した室内という悪環境で、エレメントの長さを最適化調整してみるのも目的。
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この図の上は、前にやったとおりのシミュレーションで算出した長さのエレメント形状を実際に設置してみたところの図。
そのとおりの寸法で作ってみたら、ほとんど10MHzに共振した。ただ、特性は素直で、jX=0の点でほとんどR=50Ωになっており、従って
SWR=1というすばらしい特性。
この図の下は、このままでは10MHzのアンテナになってしまうので、エレメントを切っていって、14MHzあたりに共振するようにもって行った時の図。
このように、jX=0ではRは100Ω強あって、SWRは2くらいが最良値。
シミュレーションの結果では、エレメントをベントすると、特に折り返し部分があると、インピーダンスが下がる傾向が見られた。つまり、理論値73Ωのダイポールを程よく50Ωで給電できるという。それがそのまま現れたのが上のほうの10MHzの結果。
一方、下のほうの14MHzは、ベント部分が少なくなって、折り返し部分は無くなっている。だから、インピーダンスは上がるというのはわかる。しかし、完全にベントが無くなれば73Ωのはず。また、周囲の誘電体の影響を考えれば、あらゆる障害物は空気よりも誘電率が高いから、インピーダンスを下げる方向に行きそうな気がしていたのだが、この実験結果からすると逆みたいな?でも10MHzの時はその影響はほとんど見られないからそう単純ではないみたい。多分、誘電率が効いてくるのは
jXのほうで、Rのほうはtanθとか?が効いてくるのだろう。そのあたりは深くは追求しない。
それならば、上の図の10MHzのときのような形に、つまり曲げる位置を短くして、ベントの大きさを小さくすれば多分SWR=1に持っていくことはできるだろう。
しかし、このときに感じたように、空間を邪魔に占有すればするほど、一般的にはアンテナとしての性能は上がる方向にいくという定性的感覚がある。SWRを下げるのが目的ではなくて、性能の良いアンテナを作るのが目的だから、その認識は重要。
その証拠に、ただSWRを下げるだけならば、エレメントを丸めたって下がるよ。
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というわけで、めでたく14MHz近傍にSWR最小点が来るように調整した場合の特性を真面目に測定した。いきなり結果をグラフにして示す。
これが目的の14MHz近傍の特性。周知のとおり、MFJ-259BではjX成分の±の符号はわからない。なので、0を挟んだ場合に、どっちが正でどっちが負なのかを決める必要がある。それはこれだ。!
真面目にシミュレーションしたのが役に立つよ。
ダイポールアンテナでは、基本モードの奇数倍で電流給電共振することがわかっているので、このときのグラフのとおり、明らかに1倍モード共振で、周波数を上げていくとjXは負から正へと変化する。
あと、このグラフでjX=0近傍で測定値が0に張り付いているのは、明らかに測定時の有効桁数の問題。なので、実際のカーブは頭の中で補間すればいいだろう。別にそういう重箱の隅をつつくのが今回の目的ではないのでノープロブレムだ。
SWR*50にしているのは、単にExcelのグラフで、複数数値の縦軸を書けない?(or 自分だけ書く方法がわからない)からだ。だから、ただSWR*50=50の線を、SWR=1と読みかえればいいだけ。
結果を見ると、まさにグラフから一目瞭然なように、R=50Ωの点と、jX=0の点とがそこそこずれているために、SWRの最小値は2に留まるものの、SWRの底はブロードで、広帯域なアンテナであると言える。
14~15MHzの区間で、SWRが底値になっている。
元から、アンテナチューナー使用が前提だから、結構素直で使いやすいアンテナになるのでは?という期待はあったりする。
これは、3倍高調波モード励振で動作させる、50MHzダイポールとしての特性。今度はR成分はかなり下がっている。最高でも25Ω程度。また、周波数を上げていくと、先にjX=0の点があり、その後R最大の点が現れるので、そういう意味では14MHzの時とは動作は違う。こういう細かいところまでちゃんとわかるのが、RとjXを別々に測定する醍醐味であるよな~。
結論から言うと、SWR最小点は49~49.5MHzにあるので、ちょっと苦しい。でも、14MHzでの特性が既に14~15MHzで動作するようにしてあるので、それ以上エレメントを切ってしまうと肝心の14MHzのCW/JT65帯域の特性が悪くなってしまうのでそれはやらない。でも、50MHzギリギリあたりのCWバンドでは、SWRはなんとか2.5以下には収まっている。
まあ、14MHz用アンテナを作って、14でSWRが2、50でSWRが2.5なのだから、50MHzとしては万歳できる数値であるとも言えるみたいな。
以上が裸のアンテナの特性なわけだが、これにアンテナチューナーをつけた場合にどういう振る舞いをするのか?
それは次回以降のお楽しみだ。
今回はついに、実際に設置して測定してみた。まずは写真から。
これが左半分。
これが右半分
これは給電部と、はしごに登ってMFJ-259Bをつないで測定しているところな様子。
汚いので、大分塗りつぶして隠してあるけど、
2段ベッドのすぐ上にエレメントがある様とかの生々しい状況がわかるであろう。
今回はこの写真にあるように、短い同軸ケーブルで、アンテナ本体とMFJ-259Bを直につないで測定してみるだけ。実際にリグにつなぐケーブルはまだできていないのでそれは後日。
要するに、できるだけ給電部のそばで、アンテナの生の特性を測ってみるというのが目的。そしてそれを元にして、実際に設置した室内という悪環境で、エレメントの長さを最適化調整してみるのも目的。
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この図の上は、前にやったとおりのシミュレーションで算出した長さのエレメント形状を実際に設置してみたところの図。
そのとおりの寸法で作ってみたら、ほとんど10MHzに共振した。ただ、特性は素直で、jX=0の点でほとんどR=50Ωになっており、従って
SWR=1というすばらしい特性。
この図の下は、このままでは10MHzのアンテナになってしまうので、エレメントを切っていって、14MHzあたりに共振するようにもって行った時の図。
このように、jX=0ではRは100Ω強あって、SWRは2くらいが最良値。
シミュレーションの結果では、エレメントをベントすると、特に折り返し部分があると、インピーダンスが下がる傾向が見られた。つまり、理論値73Ωのダイポールを程よく50Ωで給電できるという。それがそのまま現れたのが上のほうの10MHzの結果。
一方、下のほうの14MHzは、ベント部分が少なくなって、折り返し部分は無くなっている。だから、インピーダンスは上がるというのはわかる。しかし、完全にベントが無くなれば73Ωのはず。また、周囲の誘電体の影響を考えれば、あらゆる障害物は空気よりも誘電率が高いから、インピーダンスを下げる方向に行きそうな気がしていたのだが、この実験結果からすると逆みたいな?でも10MHzの時はその影響はほとんど見られないからそう単純ではないみたい。多分、誘電率が効いてくるのは
jXのほうで、Rのほうはtanθとか?が効いてくるのだろう。そのあたりは深くは追求しない。
それならば、上の図の10MHzのときのような形に、つまり曲げる位置を短くして、ベントの大きさを小さくすれば多分SWR=1に持っていくことはできるだろう。
しかし、このときに感じたように、空間を邪魔に占有すればするほど、一般的にはアンテナとしての性能は上がる方向にいくという定性的感覚がある。SWRを下げるのが目的ではなくて、性能の良いアンテナを作るのが目的だから、その認識は重要。
その証拠に、ただSWRを下げるだけならば、エレメントを丸めたって下がるよ。
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というわけで、めでたく14MHz近傍にSWR最小点が来るように調整した場合の特性を真面目に測定した。いきなり結果をグラフにして示す。
これが目的の14MHz近傍の特性。周知のとおり、MFJ-259BではjX成分の±の符号はわからない。なので、0を挟んだ場合に、どっちが正でどっちが負なのかを決める必要がある。それはこれだ。!
真面目にシミュレーションしたのが役に立つよ。
ダイポールアンテナでは、基本モードの奇数倍で電流給電共振することがわかっているので、このときのグラフのとおり、明らかに1倍モード共振で、周波数を上げていくとjXは負から正へと変化する。
あと、このグラフでjX=0近傍で測定値が0に張り付いているのは、明らかに測定時の有効桁数の問題。なので、実際のカーブは頭の中で補間すればいいだろう。別にそういう重箱の隅をつつくのが今回の目的ではないのでノープロブレムだ。
SWR*50にしているのは、単にExcelのグラフで、複数数値の縦軸を書けない?(or 自分だけ書く方法がわからない)からだ。だから、ただSWR*50=50の線を、SWR=1と読みかえればいいだけ。
結果を見ると、まさにグラフから一目瞭然なように、R=50Ωの点と、jX=0の点とがそこそこずれているために、SWRの最小値は2に留まるものの、SWRの底はブロードで、広帯域なアンテナであると言える。
14~15MHzの区間で、SWRが底値になっている。
元から、アンテナチューナー使用が前提だから、結構素直で使いやすいアンテナになるのでは?という期待はあったりする。
これは、3倍高調波モード励振で動作させる、50MHzダイポールとしての特性。今度はR成分はかなり下がっている。最高でも25Ω程度。また、周波数を上げていくと、先にjX=0の点があり、その後R最大の点が現れるので、そういう意味では14MHzの時とは動作は違う。こういう細かいところまでちゃんとわかるのが、RとjXを別々に測定する醍醐味であるよな~。
結論から言うと、SWR最小点は49~49.5MHzにあるので、ちょっと苦しい。でも、14MHzでの特性が既に14~15MHzで動作するようにしてあるので、それ以上エレメントを切ってしまうと肝心の14MHzのCW/JT65帯域の特性が悪くなってしまうのでそれはやらない。でも、50MHzギリギリあたりのCWバンドでは、SWRはなんとか2.5以下には収まっている。
まあ、14MHz用アンテナを作って、14でSWRが2、50でSWRが2.5なのだから、50MHzとしては万歳できる数値であるとも言えるみたいな。
以上が裸のアンテナの特性なわけだが、これにアンテナチューナーをつけた場合にどういう振る舞いをするのか?
それは次回以降のお楽しみだ。